2022.09.01

試論

穏当な大衆

「残念」というしかないのだが、どうしても人は自分でお金を稼いで食っていかなくちゃいけない以上、それを考慮した生活とか、それが理由の仕事とかをするようになる。

それはそれで充実した毎日が送れそうだからなんら問題はないのだが、ただどうなんだろうか。
「生活していくための仕事」では、結局その時々の水準の生活を維持するための決断が多くなりそうである。

残念ながら人間の「結婚→出産」という王道は不可逆で、だから子供ができたら、当然養育費を賄えるだけのお金は仕事で稼いでおく必要がある。
しかし、ここまでくると「大事なもの」の順番は滅茶苦茶だ。

奥さん、子供と仕事、どれが一番大事なんだ?ここがよくわからん。
そもそもやっている仕事自体が、自分の生活のために過ぎず、そこまで楽しいものじゃなかったら、結婚しても出産しても支障がないってことなのか?

結婚だって出産だって、「今の生活がもっと豊かになる」と思って踏み切るものだと思っていたが、違うんだろうか。
それらを守るために、働く時間が増えて家族といられる時間が減ったら?もし仕事が行き詰まってそれまでの収入だって不安定になったら?

…と考えていくと、やっぱり「仕事の適性」によらず「もうお金の面では全くもって心配はいらないわね」という状態であることが、結婚でも出産でも圧倒的に大事ってことか。

うーん。
でもそれくらいの所得を持てる人ってそんなにいるのか?共働きなら大丈夫、ということなのか。

いずれにせよ、今の仕事をやめるつもりがない人たちだけが結婚や出産を考えることには変わりがない。今すでに何かを渇望しているなら、それらが頭をよぎることもないんじゃないか?
そして、多くの場合彼らの仕事は、彼らにとって心から望んだものではないんだろう。だって仕事が楽しかったらそれだけやっちゃうんじゃないのかしら。

仕事は生活のため。別に仕事をどうしよう、なんてことは考えない。とにかく収入は安定してきたし余裕もあるから、今の”心から望んだものが何もない生活”を少しでも彩ってやろうということで結婚してみたり子供を作りたいと思ったりする。

…なんか言っていることが極端すぎるんだけど、でも究極的にはそうじゃないのかなぁ?
誰も最初からジェットコースターのような人生は望んじゃいないんだと思うが。

P.S.
多くの人は客観的にみて「穏当」な「幸せ」を望んでいて、どれだけスリリングで高い場所にもいけるジェットコースターには乗ろうとしない。これを前提にするんだったら「大きな夢を!!」とか「理想を追え!」とか「自分に正直に!!」なんて啓発しない方が社会的に健全なのではないか?少なくとも「ちょっとやる気がある奴」に「大志を抱け!」と言ってやることは大きな意味のあることだが、大衆的に理想論を声高に語ることは誰も幸せにしないような気がする。要はただの人生観の押し付けに過ぎない。

変な話結婚しちゃって二人分を稼ぐことに一生懸命な人に「それ、心からやりたいことですか?」とか言って退職を仄めかしたら、収入がなくなって、次は大切な人までなくしてしまうことになりかねない。
「それでも僕はやりたいことを見つけたんだ」と再起できるほどのメンタルがあるなら話は別かもしれないが、だったら結婚する前にそれを見つけておけよ、とか思ってしまう。この時「いやそれはタイミングの問題だから〜」という意見は通らない。だって最初から「俺は心からやりたいことをして生きていくんだ!!」って意気込んでいたら、それなりに自分の人生がジェットコースターになることは理解していられるでしょう?それでも「いいわ、私もそのジェットコースターに乗りましょう」と言ってくれる人と出会えたら、その時に初めて結婚という選択肢が出てくる。
これはお互いがジェットコースターに乗ることを認識できて、覚悟が決まっているのだからなんら問題はない。

村木 瞬Shun Muraki
Web Designer

Neutral between linear and non-linear.

デジタルメディアのフォーマット
「Linear Native」について研究。

テーマは”リニアとノンリニアのニュートラル”